箱根の主な観光スポットはもう訪れたという人、列車の混雑から逃れて一息つきたい人、あるいは何かしらのカロリー消費の方法を探している人…何にせよ、湯坂路ハイキングコースならその目的は達成されるはず。湯本地区から芦ノ湖ほとりの元箱根まで9.5キロメートルのコースの所要時間は、歩く速さや休憩回数にもよるが、概ね4~5時間といったところだ。
箱根湯本駅からメインストリート(国道1号線)に沿ってまずは宮ノ下を目指す。湯本駅から歩き始めて約5分、旭橋という橋を渡って50メートル行ったところでハイキングコースは国道から左手に登っていく。国道の路肩に沿ってしばらく進もう。このトレイルで一番きつい場所は登り始めだ。落葉樹や杉の木々の中を通って急坂を登っていくと、浅間山(せんげんやま)山頂へと続く道は次第に開けていく。最初の30分を過ぎれば残りのトレイルはさほど苦にならないので、元気なご年配のハイキンググループに遭遇することもあるだろう。しばらくの間、道はモミジの木の下をくねくねと進むが、この辺りは秋の紅葉が見事だ。そうこうするうちに浅間山頂に到着。広々としていてここならピクニックもできる。もし、このあたりでハイキングを終えたいなら、宮ノ下駅か小涌谷駅まで歩いて1時間もかからない。
芦ノ湖までハイキングを続ける場合は標識に従って進み、鷹巣山を越えて芦之湯を目指そう。ハイキングの後半は国道1号線に沿って進むコースになっている。精進池近くには、地蔵が岩に彫られた古い磨崖仏等の石仏群と歴史館がある。森林の中をしばらく歩くとやがて芦ノ湖に出る。
箱根、富士山周辺で景色の美しいおすすめスポットの一つとして、神奈川県立恩賜箱根公園の手入れの行き届いた庭園がある。もともとは皇族の避暑のための離宮として造営された土地だったが、その後整備しなおされて一般に開放されたものだ。湖畔にある元箱根案内所から箱根登山バスで強羅、湯本、小田原へ帰ることができる。強羅行きの最終バスは夕方6時前に出るので、時刻表でバスのダイヤを確認しておこう。
(ハイキングコースはここで紹介したもの以外にもたくさんあるが、大涌谷の火山エリア周辺は、硫黄ガスの濃度によってコースが閉鎖されることがあるので注意が必要。)