横浜ベイブルーイングの代表取締役である鈴木真也氏は、この街のクラフトビール界において10年以上その存在感を示している。横浜ビールで醸造の代表を務めたのち、2013年に自身の醸造所を中区にオープンし、戸塚に移転した際に規模を拡大した。鈴木氏は毎年1月に大桟橋で開かれるJAPAN BREWERS CUPの主催者でもあり、自身で掲げる”横浜をクラフトビアシティへ”という目標達成に向け尽力している。
彼の知名度を受け、京急電鉄から日の出町駅の高架下に、新しい試みとして醸造所を作りたいという依頼があった。鈴木氏はこれを新しいことに挑戦するチャンスと受け取った。「すでに大規模なビールの醸造所を持っていたので、まだ試したことのない事を始めようと考えた。そこで蒸留機が小さくて、設備投資もそこまでかからないクラフトスピリッツとジンを選んだ」と語る。
クラフトジンはここ数年注目を集めており、良いタイミングであろう。
常陸野ネストという地ビールで、世界的に有名な木内酒造では、日本酒菊盛やジンなどの酒類も作っており、そこでジンの蒸留方法を学んだ。鈴木氏曰く、殆どの日本のジンは焼酎蔵が作っており、芋や麦をベースにしているが、木内酒造ではビールを使用する。その蒸留方法が鈴木には合い、日の出町に自身の横浜ジン蒸留所をオープンするまでの間、神田にある常陸野ブルーイング東京蒸留所で学んだ。
鈴木氏の蒸留所では、戸塚の工場で醸造したアルコール濃度8.5%のビールを300リットル使い、蒸留した後にボタニカルな材料やベリー(主にジュニパー)、柑橘やスパイスを入れ、様々な風味のジンを作っている。取材時には8種類のテスト品から選ぶことができ、それぞれストレート、ロック、ソーダ、トニックやソーダとトニック半々のソニックなどで楽しめた(¥750~)。蒸留所ではスタンダードとなる味を作っているが、常に新しい材料を試し店頭で飲むことができるスタイルは楽しい。また、オリジナルのレモンサワー(250ml ¥800~)やビールも (300ml ¥700, 500ml ¥1000) 生とボトルで取り扱っている。
このバーで鈴木氏に出会うことは稀だが、基本的に蒸留を担当する峰尾真人氏がL字のカウンターで出迎えてくれる。8~9席ほどのカウンターで、日本語を話せる場合は彼がドリンク選びのガイドをしてくれる。日本語が苦手な場合は、複雑なレシピのリストを理解するのにアシスタントが必要になる可能性があるが、数字でのランダムな注文も可能だ。私たちもボタニカルな材料のフレーバーに関しての知識が乏しく、結局後者の方法で注文した。フードの提供は無いが、手軽なつまみは取り扱っている。日の出町フードホールという名前からも想像できる通り、フードコートが併設している為、それぞれの店へ持ち込みも可能だ。
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