今年の10月14日は、新橋と桜木町(最初の横浜駅があった場所)を結んだ鉄道開業150周年にあたる。横浜駅には三代の歴史があり、現在の三代目は1930年から利用されている。しかし、初代と三代目の間の15年間ほど、美しいレンガ造りの横浜駅があったという事実はあまり知られていない。どれほど多くの人々が、その横浜の鉄道史の一部の前を気づくことなく日々通り過ぎていることだろう。
初代横浜駅(現桜木町駅)は、横浜の中心部から近くアクセスが良い位置にあったが、東西を結ぶ東海道本線からはそれた場所にあり、西に進むには一度来た線路を戻らなければいけないスイッチバック方式を採用せざるを得ず不便であった。1914年に東京駅が開業してスピードの時代の幕開けとなり、翌年1915年、本線は新設した二代目横浜駅に停車するルートに変更。二代目の駅舎は華麗な外観の2階建ての建物で、1等~3等の各クラスにそれぞれ豪華な待合室が設置され、貨物駅も併設されていた。そして近くには東横線渋谷駅からの終着駅である神奈川駅が開設された。
二代目横浜駅は1923年の関東大震災により外壁だけ残して焼失し、しばらくはトタン屋根で仮駅舎として営業していたが、その7年後には完全に解体された。1928年には現在の場所に三代目の横浜駅が開設。新しい東海道線は二代目の跡地近くを通り過ぎ、東横線は桜木町まで延伸され、かつて偉容を誇っていたレンガ造りの建物は歴史の中に消え去り、人々の記憶からも消えていった。
残っているものといえば、2003年、マンション建設時に当時のレンガ基礎が発見された。現在その場所には小さな案内板が設置されているが、説明書きも不十分であまり目立たないためそこを訪れる人は少ない。
その場所は、国道1号線と16号線が交わる高島町の交差点沿いにある。横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅からすぐの場所で、交番の隣だ。もし訪れる機会があったら、一世紀前の横浜駅が果たした役割と、その歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか?