ダゲレオタイプ(銀板写真)は世界最古の写真撮影法の一つである。実際、遡るところ19世紀前半、世界で初めて販売されたカメラがこれである。銀メッキされた特殊な銅板上に像を記録するという手法である。現代のような進んだ技術を用いていないが、21世紀の技術を用いた作品に引けを取らないほど見事な写真が出来上がる。写真術はより便利になったのであり、より美しくなった訳ではないようにさえ思える。
残念ながらダゲレオタイプの写真家はこの時代にほとんど残っていない。一連の作業が難しく、危険をも伴うのである。しかし、そんな数少ない写真家の一人がここ横浜で活動している。新井卓である。
1月28日から2月26日の間、横浜市民ギャラリーあざみ野で新井の作品が展示される。この展示会「Bright was the Morning ― ある明るい朝に」は、入場無料で一般の方に開放される。彼の作品は心に残り、息をのむほどに見事である。従来のやり方は時に生かしておく価値があるということを思い出させてくれる。