アメリカ野球殿堂入り選手のヨギ・ベラは、「ヨギイズム」と称される格言の数々で知られているが、彼はかつてミズーリ州セントルイスの、あるイタリアンレストランについて、「もうあそこには誰も行かないよ。混雑し過ぎだ」と述べた。ヨギの言葉は夏の三浦半島にも当てはまる。道路が駐車場と化し、レストランはどこも満席で、海は想定通りの汚さで、地球上で最も人口が多い都市の一つから一時間で行ける、夏の三浦半島。
ビーチリゾート、またはその近辺に住んだことがある人は、夏にその地へ行くのは好ましくないということは知っているだろう。もちろん、今の時期は日焼けするにも背泳ぎの練習をするにもまだ少し寒いが、大都市から抜け出すのにはほかにも理由がある。
鎌倉は三浦半島のなかで最も有名な観光スポットだ。鎌倉のお寺や神社は訪れる価値がじゅうぶんにあり、そこにはいつも観光客がいる。しかし、そんな鎌倉の周りにハイキングコースがあるということはあまり知られていない。事実上、鎌倉駅が見える範囲で簡単に20キロメートル歩くことができる。そして、ハイキング後のご褒美にちょうど良いものを提供してくれるレストランやバーも豊富にある。
京急線の三浦海岸駅から三崎口駅までのハイキングもすばらしい。この隣同士の駅の間は2.5キロメートルだが、海まで出て海沿いを歩くと漁村や大根畑、キャベツ畑の中を20キロ歩ける。
途中でお腹が空くかもしれない。そんなときは、三崎港(三浦半島の最南端)の特産品、マグロ丼を食べるのはいかがだろうか。ミサキドーナツなんてのもいい。
さらに北に進むと、同じく京急線の馬堀海岸駅(横浜から行く場合、堀之内駅で浦賀行に乗り換える)からは、驚くほどすばらしい横須賀美術館までバスまたは歩いて行くことができる。または、高速のローラー滑り台や徳川時代から続く灯台のある観音崎公園にも行ける。
湘南は、葉山、逗子、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎を含む三浦〜平塚間の相模湾沿い一帯を指す。夏になると湘南の海はサーフィン初心者たちであふれかえる(台風でも来ない限りサーフィンができる大きな波はない)、春、そして秋冬はカイトサーフィン、ウィンドサーフィン、そしてスタンドアップパドルを楽しむ人でにぎわう。三浦海岸もウィンドサーフィンの人気スポットであり、湘南、三浦海岸ともにボードなどをレンタルしてくれるショップがたくさんある。
アウトドア派ではない、そしてクライン・ダイサム・アーキテクトのデザインによる代官山T-SITEが好きという方は、藤沢のパナソニック工場の跡地にできたT-SITEがおすすめ。今度、雨の日(または晴れの日)に何千冊もの雑誌や本に囲まれながらコーヒーを飲む計画を立てるなら、横浜から代官山に行くよりも藤沢T-SITEに行く方が近いし、魅力的かもしれない。
注意:オフシーズンの三浦半島は、ナイトライフを楽しみたい人には向いていない。もしパティーを楽しみたい場合は、都市に残って夜遅くまで遊ぼう!そして月曜日の朝、週末はいったいどこに消えたんだろうと思うのだろう。