ネオンは何年にもわたり多くの有名な通り、レストランやパブを照らし、テクノロジーの発達に関わらず、時代を超えて人気を保ってきた。LEDはネオンが引き出す温かみ、親密感、懐かしさにはとてもかなわない。最近のうるさい、まぶしい看板に比べてネオンの鮮やかな色と落ち着いた光は見やすく、目に優しい。高橋秀信は、二十歳のころに看板のお店でネオンの職人の下で10年修業をし、2000年にスマイルネオンを設立した。高橋はクライアントのリクエストに応え、長年にわたり、大企業から小さなショップのためにネオンを製作してきた。値段はデザイン、サイズ、仕様によって異なるが、およそ¥70,000からである。修行中、さまざまな素材の勉強や技術を身に付けるまでが大変だったと高橋は言う。練習を重ね、経験を積んでようやく感覚がつかめた。
「親方はセンスが大事だといつも言っていた。実際に仕事をやって体で覚えるのが大切だ」
LEDの人気が広がってから、ネオンの需要は少なくなったが、だからこそ高橋は次の世代のネオン職人を育ていきたいという思いが強い。
「好きじゃないとダメだと思う。これはネオンに対してだけではなくて、全てにあってそうである」と高橋は話す。「心から何事にも臨めば何でもできる。永遠に修業だから、いつも学んで成長する態度が大事だと思う」
高橋はそれをいつも心掛けているのがよくわかる。フレンドリーな笑顔と明るい、ポジティブな性格の裏にはネオンに対しての熱い情熱があり、またそのパッションが職人として作品を生み出していく思いをふきこんでいるのが伝わってくる。ネオンだけに対してではなく、自分が働いているその環境にも高橋は熱意をもっている。「死ぬまでこの生まれ育った横浜でネオンを作っていきたい」と高橋は言う。「東京にはたくさん仕事があるけど、(そこで仕事をすることは)想像できない。やっぱり、僕は横浜が大好きだからね」