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本誌の「穴場」シリーズでは、目立たないながらも足を運ぶ価値のある飲食店をいくつか紹介してきた。今号で紹介する穴場は、見つけにくいだけでなく、週に2回しか営業しておらず、さらにメニューが2つしかないお店だ。場所、時間、食べ物、そのすべてが穴場の要素を含んでいる。ところが日曜夜の混み具合から考えるに、その戦略は正しいといえよう。
ショーン・クレイマーは長年ミートボールづくりに携わってきた。現在、馬車道のバー「スマイリースマイル」を間借りして営業しているが、2015年から2020年までは、ビアバー「スラッシュゾーン」のオーナー勝木恒一が運営していた関内の「スラッシュゾーン ミートボール」(現在は閉店)という、まさにその名のとおりのバーで提供していた。ミートボールは、アルゼンチン、ベトナム、テックスメックス、ジャマイカなどのレシピから、週替わりで1種類のフレーバーが楽しめる。以前はその場でたこ焼き器で作っていたが、現在は自宅で作り、それを店でフライパンで再度火を通すスタイルになっている。いずれも風味豊かで食べ応えがあり、価格はミートボール3個で500円、8個なら1000円とお得で満足度が高い。ミートボール以外のメニューは、取材時はケイジャン味のテイタートッツ(一口サイズの揚げじゃがいも)だった。
飲み物は、アメリカのクラフトビールが缶で1200円から1500円で販売されているほか、サッポロビール、コロナビール、ワインやレモネードも選べるようになっている。店内は90年代のアメリカが感じられる内装で、音楽もその時代を象徴するような曲が流れている。全体で10席、屋外の席が2席設けられているが、人気があるので立ち飲みバーだと思っておいたほうがいいだろう。
ショーンは1994年に来日。京都で10年過ごし、横浜には2010年にやってきた。コロナ禍は苦労もあったが、趣味を仕事にするというチャンスをもたらした。「ずっとやりたかったことが実現できました。チャンスが舞い込んでくることはそうありません。チャンスが来たと思ったら、全力でつかみ取りましょう。今を生きるのです!」。苦しいと感じたとしても、きっとその苦労を糧に、その何倍も良いものが生み出せるはずだ。