ナッツほどビールに合うおつまみも少ないと思う。グラスを置いた途端、手が勝手にナッツの方へと伸びてしまうほどだから。とりわけクラフトビールを飲んでいる時は、そのビール造りと同じ気持ちでローカル生産している燻製ナッツをおつまみにするのが一番しっくりくるのではなかろうか。横浜に住む我々にとって、それを可能にしてくれるナッツがあるので紹介しよう。磯子区にあるSakura燻製工房ーここで、横浜生まれの高橋恒治と妻の理絵が小規模ながら完全手作りの燻製ミックスナッツを製造・販売している。
クラフトビール好きで野毛でよく飲んでいる人なら、高橋が2015年4月からやっている人気の店「サクラタップス」をきっとご存知だろう。慎重に選んだ約8種類のクラフトビールが日替わりで提供されるこの店へは、そのクラフトビールを造っている当事者達が飲みにやってくることも珍しくない。今まで携わってきた仕事のほとんどが飲食関連だったという高橋。以前は上大岡で10年ほどショットバーを経営していた。その店を閉め、サクラタップスを始めて数ヶ月経ったところでメニューにちょっと手を加えようと思い、燻製ナッツを作ってみることに。そして初めて作った燻製ナッツが常連客に大受けで、店の定番メニューにするべきだと皆から太鼓判を押された。塩気があって風味豊かなナッツはちょっとニンニクが効いていて、とてもスモーキーな味わい。冗談抜きで本当に病みつきになる味だ。
これは高橋が年月をかけて材料や燻製時間、温度、一回当たりの適量を研究した結果、クルミ、アーモンド、カシューナッツという3種のミックスがスモーキーフレーバーに一番よく合うということで落ち着いたものだ。その後も相変わらず客からの評判が良かったため、もう一歩進んで自分の店以外の場所でも販売することにした。そうして2018年12月、磯子区に小さな工房を設立。今では8つの店や地元のイベントで定期的に販売している。自宅に直接届けてほしいという人にも、ネットで注文すれば全国どこへでも発送してくれるようになっている(詳しくはウェブサイトを参照)。読者の皆さんがこのナッツに夢中になってくれたら、本誌としても嬉しい限りだ。