馬車道エリアにある横浜ビールでは、20年ほど前から地域に根差した美味しいラガーやエールをつくっている。彼らはコミュニティを支えるべく、地元で収穫された農産物をしばしばビールに使用している。9月29日、横浜市で栽培されているのがあまり知られていない農作物を使った特別なビールが発売される。その農作物とは、ビールの苦味と香りのもととなるホップである。
港北区でアロマフルベジファームを営む古川原琢は、おそらく市内で唯一のホップ生産者だ。8月25日に横浜ビールの社員と共に約2キログラムのヨコハマカスケードホップを収穫し、収穫されたホップは、24時間以内に期間限定ビール「ヨコハマIPA」の仕込みに使われた。摘まれたホップは品質が損なわれやすいため、タイミングが重要だ。
通常、ビールの仕込みには、保存を容易にするためにペレット(粒)状に加工されたホップが使われる。農場で摘まれたばかりのホップが手に入るのは収穫期(夏の終わりから秋の始め)のみなので、新鮮な状態を保ったまま使用するには、ブルワーと農場との間で入念に計画を立てる必要がある。ホップをすぐに使うには、ブルワー側がすべて準備が整った状態でなければならないのだ。
横浜ビールの醸造長、深田優に話を聞いた。「横浜でつくられた、生のホップを使ったビールは珍しいです。生のホップは、ビールに心地よい苦味と華やかな香りを加えます。柑橘系の中に草っぽい香りも感じるビールに仕上がりました。是非このビールを飲んで味を楽しんでほしいです」。そんな深田に乾杯だ! 間違いなく楽しむことになるだろう!
あえて言う必要はないかもしれないが、生のホップを使ったビールはとても人気があり、すぐになくなってしまう。ヨコハマIPAは、同社のレストラン「驛の食卓」と、10月21日にヨコハマ創造都市センターで行われるフレッシュホップフェストでのみ販売される予定だ。