高級ブティックやレストランが立ち並ぶ上品な横浜元町界隈で、和菓子のお店が実はここだけだと聞くと、ちょっと意外に思うのではないだろうか。「香炉庵」は2004年にこの地に店舗を構えて以来、贈り物としても喜ばれる芸術的な和菓子を販売している。横浜に生まれ育った常務取締役の齋藤雅也によると、誰が見ても横浜を代表するような魅力ある商品作りのために、これまで労を惜しまずやってきたという。
その雅也の弟で会社の代表を務める齋藤知也は、一家での開業に先立ち、十年間製菓業界で研鑽を積んだ。香炉庵という名前は、彼らの父親が長年香炉作りを趣味としていたことに由来しており、実物が店内の至る所に飾られている。建物の1階は販売コーナーで、カウンター越しにガラスの向こう側で和菓子を作っている様子がうかがえる。販売されている商品の多くはそこで作られているものだ。一番人気は「黒糖どらやき」(¥180)で、毎日出来立てのものが店頭に並ぶ。お土産にも最適なのが「花元町」。横浜港に浮かんでいる丸い浮き玉に似せたデザインで、6種の餡が彩り豊かな最中種に閉じ込められている(6個入り¥900、12個入り¥1800)。このほか、香炉庵ではイベント向け和菓子作りにも力を入れており、今月で言えばチョコレート入りのバレンタインスイーツが購入できる(¥500~)。どのパッケージも目を引く可愛らしさだ。
2階の茶寮では甘味や軽めの和食が季節に応じたメニューで楽しめる。寒天や餡、クリーム、フルーツなどあんみつのメニューが豊富(¥1100~)。筆者が訪れた時は、稲庭うどん御膳(¥1210)やデザート付きの季節のおこわ御膳(¥1650)があった。香炉庵と茶寮で目にするものはすべてが美しくプレゼンテーションされていて、どれもインスタ映え必至だ。