金沢文庫駅のほど近くにある、こじんまりとした趣のあるバー、それがKAKURENBO CRAFT BEER CAFEだ。平屋造りのその建物は、周辺の雰囲気に溶け込んでおり、まるで隠れ家のようだ。オーナー・シェフの小野佳祐夫妻は、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、まるで家で過ごしているような居心地の良い空間を提供してくれる。それぞれテーブル席や畳の席に座り、思い思いにビールや会話を楽しんでいる。
小野は店のスタッフを通じてクラフトビールの世界を知り、その多様性や奥深さにのめり込んでいった。そこからホップの種類やビールの産地などとことん調べ、飲み歩き、研究した。やがて自らの店でも提供し始め、現在6つのタップ (250ml ¥680, 360ml ¥800, 480ml ¥1200) には、自分の好みをタップメニューに加えつつ、常に新しいジャンルにもチャレンジしている。
そして、この店のもう一つの魅力は、南アジアスタイルのカレーだ。香辛料をふんだんに使ったスパイスカレーに出会い夢中になった小野は、あらゆるスパイスを学び、メニューに加え始めた。厨房から漂ってくるスパイスの香りに期待が高まる。この日いただいたチキンスパイスカレー(¥900)は控え目な辛さがジワリとくる、食欲をそそる香りと独特の風味が人気の、シェフオススメの一皿だ。その複雑で深みのある味わいは、ホップの香り豊かなクラフトビールと相性も抜群だ。他にも、繋がれたビールのタイプを考慮しながら時々のペアリングフードが提供される(¥300〜)。組み合わせを試しながら自由に楽しんでほしい。
小野は学びの人だ。イタリアン、フレンチなど渡り歩いた小野だが、過去の経験にとらわれることはないと話す。好奇心旺盛な彼は何かを見つけ自ら学び、新しいことにチャレンジしていく。そして周囲を惹きつけ、フィードバックを通して更に魅力を増幅させる。そんな進化のサイクルを感じさせる楽しみな店だ。