去る、8月22日、28日、29日ハービー・山口による大切な『時』の撮影会を開催した。写真の本質の一つである、「その時を残す」という撮影会だ。「シャッターを切るたびに相手の幸せを願う」写真家ハービー・山口が発起人で、ローズホテル横浜、横濱寫眞館の協力で実現した。
この撮影会は、コロナ禍、本来残すべき『時』を残すことができなかった人たちに対しての企画で、参加希望者には「なぜハービー・山口に撮影をしてもらいたいか」を文章にして提出してもらった。
定員になり次第、受付終了ということだったのだが、当然のことながら、予定していた定員はすぐに埋まり、受付を終了しても沢山のメールが届いた。そこで俺は、撮影希望者の思いだけでもハービー・山口に伝えようと連絡を取ることにした。すると、「ここにあるリストの人だけでも全員撮れないかな」とメールを読み終わったハービー・山口は俺に言ってきた。
ハービー・山口とはそういう人なのだ。名誉のために補足するが、この撮影会の予算は企画の趣旨に沿って全ての関係者の人件費はゼロで計算している。参加人数が増えると自分たちの負担が大きくなるのである。それはハービー・山口も例外ではないのだ。なのに彼はそう言って俺たちに頭を下げたのだ。
なんという人だ!
もちろん俺たち全員共感し、結果的に定員の倍近い方々をお迎えすることになった。
ここで本当は参加者がどんな思いで応募してきたのか書きたいところだが、そんなことができるわけがない。ただここで一つだけ言えることは、その大切な一つ一つの「時」をハービー・山口は確実に受け止め、全身全霊でその人の「時」を一枚の写真に込めていったことだ。参加者の感動は言うまでもない。
その場にいた俺たちは、ハービー・山口が「幸せを撮らせれば世界一」と言われる所以を目の当たりにすることができた。こんな感動的な撮影会は他にない。