HanaUta caféの代表、飯田峰子は、馴染みのある石川町や元町で、夫や友人たちと美味しいものを食べること、そしてお酒を楽しむことが大好きだった。ところが子供が誕生し、いざ街に繰り出そうとしたとき、赤ちゃん連れの自分を受け入れてくれる店がほとんどないことに気付いた。「喫煙可能な店ばかりだし、子供をくつろがせるスペースもない。なにより赤ちゃんを連れて母親がビールを飲んでいると変な目で見られた」と言う。そこで、娘が1歳になったばかりの2012年、自分が不便だと感じたことを解決するべく、彼女自身が快適だと思える店を自分で出すことに決めた。
山形の農家で新鮮な米や野菜を食べて育ち、薬膳の知識と野菜ソムリエの資格を持つ飯田のこだわりは、とにかくメニューに野菜をたくさん取り入れること。1階のデリコーナーのガラスケースには、実家の山形や三浦などから取り寄せた野菜を中心とした、ヘルシーな惣菜が並ぶ。惣菜は単品やお弁当としてテイクアウトしたり、店内でご飯やベーグル、スープやドリンクとセットにしたデリランチとして楽しむことができる。ちなみに米は実家から直送の玄米を、毎朝店で精米して出しているという。
2階のお座敷は子供連れの客が優先の予約制となっており、4名以上で貸し切りも可能。明るい陽射しが降り注ぐフローリングのスペースで、子供は自由に寝そべり、親はゆっくり食事を楽しむことができる。別室にオムツ替えや授乳ができるスペースもちゃんと確保されているので安心だ。今年5月からは、無添加、無農薬の離乳食のメニューの提供もスタートした。「デリを始めたきっかけは、カフェに来たお客さんが夕ご飯のおかずを買って帰ることができて、楽になるのではと考えたから。せっかくの外食の機会なのだから、料理のことは忘れてゆっくりして欲しい」と飯田は語る。ちなみに3階にある「yururi salon」は、飯田の妹がスタイリストを務めるヘアサロン。カフェに来たついでにヘアカットもできるとあって好評だ。
HanaUta cafeのバータイムは17:00から、300円のおつまみメニューを中心に気軽に楽しめる。もちろん店内は終日禁煙、子供を抱っこしながらビールやワインをおかわりしても、白い眼で見られることはない。そう、店名のとおり、鼻歌を歌いたくなるような快適な空間がそこにある。