小高い丘の上にある住宅街を歩いていくと、目の前に突如大きな倉庫が出現する。といっても、今回紹介するグレートスモーキーマウンテンはその大きな倉庫ではなく、隣接する洒落た外観のカフェレストランだ。
店の内装は北米やカナダを思わせるような、木の温もりを感じられる雰囲気で統一されている。味わいのある材質や雰囲気からして、もう何年もここにあるのだろうと尋ねてみると、驚くことにまだオープンして1年とのこと。詳しく聞くと、この店の経営母体はインテリアコーディネートや内装工事を手掛けるティープラスターという会社で、そのノウハウを詰め込んで造り上げた店だという。ちなみに隣の気になる倉庫だが、実は「レインボー倉庫」という名の同社所有の施設で、クリエイター達がイベントや撮影スタジオ等々、それぞれの目的に応じて利用できるシェアスペースだったのだ!
そんな隣の雰囲気も手伝って、非日常の空間で楽しめるのが燻製肉の料理だ。この日はランチタイムに訪れ、お薦めのグレートスモーキーサンドとグレートスモーキーライスをいただいた(各¥1,500)。低温でじっくり燻されたブリスケット(牛肩ばら肉)はしっかり火が通り、それでいて柔らかい。「燻製のチップには、肉と相性抜群のサクラやヒッコリーをよく使います」とフードディレクターの伊藤祐介が教えてくれた。強すぎず程良い香りなので、サンドイッチにもライスにもマッチする。肉を噛むごとに燻製の香りが口の中にふわっと広がるのが印象的だ。サンドイッチに使うパンは料理に合うよう厚みや大きさを考え、伊藤の知り合いのベーカリーに特注でオーダーしているとのこと。その場でこんがりと焼いて提供され、サクッとした歯ごたえと弾力で食べ応えも十分だ。
夜も営業しており、燻製に合う年代物のウィスキーやバーボンなどもある。座席やテーブルは大きめでゆったりくつろげる空間なので、ファミリーの団らんにも良いだろう(店内は禁煙)。これからは夜の時間が長くなっていく。店内の暖炉の前でお酒を飲みながらまったりと過ごすのも良いかもしれない。
この日、筆者は会計のついでにスモーキーナッツ(¥500)を買って帰った。寝る前のひと時をナッツとウィスキーで楽しむために。