みんな誰もが、海外で新生活を始める際に、様々なイメージを思い描くと思う。華々しくキラキラとした生活や苦労する生活のイメージ、何かを成したいと意気込む仲間たちや様々な文化的背景を持つ人達から刺激を受ける生活のイメージ。実際の海外生活では、思い描いていた以上の素晴らしい経験だけではなく、がっかりする現実もあると「バイリンガル幼児園Cosmo Global Kids」理事長の甲斐実は言う。「せっかく一大決心をして海外に飛び出してきた日本人の中にも、新しいことへの挑戦に消極的で、自分の意見・主張は無く、新しい人とのコミュニケーションを楽しんでいる様子が無い人も多く見受けられました。その原因は、結局物事への興味、つまり『探究心』が無いのだと感じるようになりました。探究心が無いため、そもそも物事について深く考える習慣が無いことで、自分の意見を持つことが無い。よって伝えたいことも無い」。気付くと、議論をしていて楽しい外国人とのコミュニケーションを追い求めるようになっていた、と甲斐は言う。
甲斐が理事長として2016年に馬車道に開園したバイリンガル幼児園Cosmo Global Kidsは、いわゆるインターナショナル・プリスクールだが、英語習得という目的を第一に掲げることをやめた。英語圏での生活で最初にぶち当たる壁は英語力ではあるが、それと同時に、英語力の壁というのは、努力すればいつか越えられるという実感もあった。しかし一方で、性格やマインドセットなど、大人になってからでは変わりきれず、海外での様々な人たちとの関わりの中で、自分のなりたい「国際人」との距離に苦しむことも自ら経験している。英語を始めとした「表現力」だけではなく、「思考力」と「探究心」を幼児期から育むこと、そういう環境を作ることの必要性を感じたのである。
「Cosmo Global Kidsでの保育と教育では、子どもたちが将来幸せな人生を送るための選択肢を増やしてあげたい」と甲斐は言う。そのために、この臨界期、黄金期である幼児期に思考力と探究心を育み、そして表現力を身につけることによって、さらに世界へと視野を広げ、自身の世界を広げてほしいと考えている。週5日フルタイムでの利用に限定しているため、利用者にとっては入園しづらいシステムかもしれないが、しかし一方で、通う子どもたちには、素晴らしい保育と教育環境を提供できているという自負がある。グローバル教育、保育、幼稚園教育、知育、食育、体育、水泳、本物の体験、課外クラス等、これらは全て、専門の先生の協力を得ながらCosmo Global Kidsで実際におこなっているプログラムである。
甲斐がオーストラリア、カナダ、アメリカで生活をする中で楽しんできたのは、新しい気付きや発見であり、自分の世界が開けていくという感覚は、多くの観光地を回ったという事実ではなく、人との出会いから得られる、小さな感動体験の積み重ねだったように思える。Cosmo Global Kidsには外国籍の園児もいるが、多数を占めているわけではない。Cosmo Global Kidsでのカリキュラムは、日本人や卒園後に日本の小学校で学ぶことを意識した内容も多いが、外国籍の子どもたちにとっても充実したカリキュラムであることに自信を持っている。様々な国籍の子どもたちが在籍する中で、さらにダイバーシティ、多様性への寛容力を育み、子どもたち同士の小さな感動体験も積んでもらいたい、と甲斐は考えている。