石川町駅を裏道から元町方面へ歩き始めてすぐ、澄んだ秋空にふと視線を上げると、視界に入ったのはB&Wというお店。窓越しに見える中の様子が気になって入ってみる。店内はカウンター、椅子、食器棚などが木目で統一されていて、落ち着いた雰囲気だ(店内禁煙)。
さっそく、横浜ビールのTSUMUGI(ハーフ¥550・パイント¥950)を注文。ベルギースタイルのにごりのあるビールで、フルーティで喉越しはスッキリしている。店には4つタップがある。運よく開けたばかりのアップルヴァイス(八ヶ岳ブルリー)もいただいた。口当たりはビールだが、口に含んで喉を過ぎる瞬間、不思議なことに鼻からリンゴの風味が抜けていく。
ワインも、ソムリエでもあるオーナー・田本久弥がこだわって取り揃えている(グラス¥700~・ボトル¥3000~)。この日一番驚いたのがオレンジ色のワインだ。聞くと白ワイン用のブドウを赤ワインの製法で作ったものらしい。白ワインらしいさわやかさの中に、皮からくる特有の風味と適度な渋みが混ざり合う複雑な味だ。
料理は、シンプルな中にジャンルの異なる飲食店を渡り歩いた田本の経験がちりばめられている。自家製鶏白レバーのムース(¥480)はふんわり滑らかな口当たり、合鴨のカルパッチョ(¥650)は肉にしっかり味が閉じ込められていて噛むほどに旨味を感じ、きのこのバルサミコマリネ(¥380)はさっぱりしたオイルと酸味で、いずれもワインにもビールにも合う。おつまみプレート(1人前¥600)でこれらをまとめて楽しむこともできる。
これまで試飲会などお客さんと楽しめる企画をしてきたそうだ。寒くなるこの時期は「鍋を囲む会をしたい」と田本はにこやかに話す。中の様子が気になったのだろうか、お客さんがひと組、またひと組と入ってくる。大型モニターを囲んで配置されたカウンター(12席)はリビングのようで、自然とほかのお客さん同士の会話を生む。