ブラントンズはふつうのクラフトビアバーではない。ほかの店との違いはその上品さである。スポーツバーで見られるような騒々しい雰囲気はそこにはない。感性豊かな人たちが落ち着いた空間で美味しいビールを楽しむ場所である。カウンター席5つと小さめのテーブル席がいくつか入った、隠れ家のような店である。
このバーはクラフトビールファンをがっかりさせることはない。スタッフは豊富な知識を持っており、注ぎ方にもこだわっている。今回訪れたときは、EBINA BEER(神奈川)、Voyager(和歌山)、Campion(東京)など、日本各地のクラフトビールが提供されていた。全部で6タップあり、米国パイント(473ml、¥1200~)、280mlグラス(¥700~)または3つセットのフライト(¥1200)から選べる。店主の河野規美子は醸造にも携わっており、Pink Boots Societyといった女性醸造家のエンパワーメントを目的とした団体を支援している。
ブラントンズは歴史ある元町に位置している。店内の壁には、横浜の歴史好きが喜ぶような、横浜が描かれた珍しい浮世絵の数々が飾られていて、本物の作品も一つある。また、入口付近にかかっている珍しいヴィンテージのシルクハットを見て喜ばしく思う人もいるかもしれない。このシルクハットは、リチャード・ヘンリー・ブラントンにちなんだもので、店名も彼の名から取っている。ブラントンは明治時代に日本で活躍したスコットランド出身の土木技師で、「日本の灯台の父」として知られている。彼は横浜の精密な実測図を作成するなど、この街のまちづくりに大きく貢献した。
小腹がすいた人のために、同店はビールとよく合うおつまみを提供している。今回は、美味しい自家製ピクルス(¥500)と自家製フムスとピタパン(¥800)をいただいた。ブラントンズは禁煙で、フリーWi-Fiが使える。