天井から吊るされたペンダントライトのシャープな灯りとテーブルの上で優しく揺れるキャンドルの灯…明と暗のコントラストを演出した灯りのグラデーションが、アンティーク調のインテリアや家具のレトロ感を一層引き立たせる。落ち着いた大人の隠れ家の雰囲気を漂わせるビアバーブーシェルは、ドイツで食肉加工を学び、国内外のコンテストで数々の受賞歴を誇るオーナー丸山富仁による、ドイツを中心としたヨーロッパの本格的な肉料理と酒が味わえるレストランだ。
ドイツと言えば、ビールにソーセージやハムを連想する人が多いだろう。ここではドイツの他にもチェコやベルギー、国内のビールが用意され、6つのタップ(¥750~/300ml、¥1100~/500ml)が並ぶ。それ以外にも瓶ビールやワインが豊富にそろっている。ビールは丸山が製造者のもとへ直接出向いて選んだものだ。一方、ワインのコーディネートはソムリエの資格を持つ妻のあゆみが担当している。
和食と日本酒の関係のように、料理と酒の組合せは土地の気候や文化と密接に繋がっている。
「本場の酒を楽しむための、本物の一皿を提供する」それがコンセプトです、と丸山。2014年、食肉加工室を併設するために店を桜木町から現在の場所へ移した。ドイツではあえて伝統製法の技術を学んだことで、機械による大量生産ではなく作れる分だけを手作りする。それでいて料理のメニューはバラエティに富み、本場と遜色のないボリューム感で提供する。これまで体験してきた現地の食文化をできるだけそのままに伝えたい、というこだわりが随所に覗く。
この日は二皿の料理で十分満腹になった。豚肉のゼリー寄せ(¥1280)は、添えられた西洋わさびクリームが肉に爽やかなインパクトを与えていた。2種の腸詰(¥1500)は太くて食べ応え十分。ジューシーな肉汁の旨味に絡んだスパイスやハーブの香味がしっかり感じられる逸品だった。
取材当日も、夫妻の気さくな人柄に惹かれて客が集まってきた。大人数で賑やかに料理を愉しむもよし、少人数でじっくり会話を愉しむもよし。気兼ねなく、思い思いの過ごし方ができる雰囲気がこの店にはあるような気がする。店内は禁煙、未成年者は入店できないのでご注意を。