子供達に与えられる教育が、全て豊かで多様だったならどれだけ素晴らしいことか! 少なくとも、ヨコハマサイインターナショナルスクールの校長で主任教諭のバーティ・チャンディラマニ(ミス・バーティ)は、市内のより多くの子供達がそのような教育を受けられるよう努力をしている。良心的な価格のプリスクール(また、学童保育も含む)では楽しい取り組みが行われており、これまでも良い結果を生み出している。
ミス・バーティが横浜に来たのは14年前のこと。彼女の夫がサンモール・インターナショナルスクールの出身で、仕事でこの地に戻ってきた。何か活動したいという熱い思いから、彼女は教育の分野にチャンスを見出した。教育学について学んだのち、別の団体でプレスクールを立ち上げる手伝いをしていたが、彼女自身の子育てのために一度職を離れる決断をした。
「長時間働くことができませんでした」と彼女は当時を振り返る。「横浜には助けてくれる親戚もいなかったのです。しかし、その時働いていた学校の生徒の親御さんが、私の自宅に子供を連れてきて学習サポートをお願いしたいと言ってくれました。その子供は特別な支援が必要で、学校では受け入れが難しかったのです」
そのうち、その生徒の友人たちもミス・バーティに教えてもらいたいと集まってきた。子供達の間でも彼女は好評だったのだ!
「結果として私の家に多くの生徒が通うようになり、ビジネスとして始めるための拠点を探すことになりました」と笑いながら語るミス・バーティ。「最初はプリスクールビジネスを始めようという気はなくて、ただ何かを始めたかったのです。もともと教えることが好きでした」
彼女の学校(以下「サイ」)は現在中区役所に正式に認定されていて、国際的な認定機関から探究心を活かした教育法のIPC認定(インターナショナルプライマリーカリキュラム)を受けている。インタビュー時点、プリスクール(2歳から6歳児)の生徒は10名以下だったが、学童保育(3歳から8歳まで)も含めると約30名の生徒が通っている。卒業生は横浜インターナショナルスクールやサンモール、ホライゾンなどのインターナショナルスクール、公立小学校に進学する。また、様々な教科や活動を行う複数の教師が在籍している。
プリスクールでは1日が自由時間(と手洗い)から始まり、曜日によってさまざまなアクティビティを行っている。1ヶ月の中で、週によってその内容が異なるのだそう。面白いことに、朝の自由時間の後にはヨガや瞑想をすることもあり、有意義な時間をスタートさせるにはピッタリだという。全てのアクティビティを紹介するのは難しいが、王道の数学、英語、読書から、音楽、芸術、工作、ゲーム、外遊びなど幅広い。IPC認定の科目は午後から始まり、学童保育(土曜日も含む)ではプログラミングのように、スキルを習得できるクラスが提供されている。
インターナショナルスクールということもあり、サイでは全ての文化を受け入れている。去年はディワリ(インドの正月)とクリスマスをお祝いした。もうすぐ中国春節を祝う予定だそうだ。子供達が様々な文化に触れることを目的としており、サイでは学習面以外のサポートも重要視されているのだ。
学校創設のきっかけがそうだったように、クラスの中に必ず一人、自閉症など、特別な支援が必要な生徒がいるのがサイの特徴だ。ミス・バーティは神経多様性(注釈:それぞれの特性の違いを尊重すること)のあるクラスを作るため、教育環境づくりを意識しており、学校のスタッフもそのような子供達を受け入れるためのトレーニングをしている。
ミス・バーティは「より大きな場所で、子供達にさらに多くの選択肢が与えられたらと考えています。また、プリスクールから小学校まで進学できるプログラムを作りたいです。保育園も検討しています。横浜には手頃な価格で通える包括的な学校が少ないので、そのような将来設計を描いています」と語ってくれた。
素晴らしいビジョンだ! ミス・バーティにはぜひ頑張ってほしい。