ブライアン・ベアードが立ち上げた、静岡県の修善寺を本拠地とするベアードビールは今年創業20周年を迎える。ベアードビールは日本各地にタップルームを展開していて、横浜の「馬車道タップルーム」もその一つ。居心地のいい3階建ての同店舗では、本格的なアメリカンスタイルのバーベキューと、20種類以上のスタイルのクラフトビールを提供している。
ベアードビールは創業以来、世界的に認知され、影響を及ぼしてきた。2000年代前半、多くのブルワリーが伝統的な欧州スタイルのビールばかりつくっていたころ、ベアードは実験的なビールに意欲的だった。毎月、新しい季節限定ビールや特別醸造ビールを世に出して、増え続けていた日本国内のクラフトビールファンたちを喜ばせていたのだ。ベアードが採用したこの先駆的な手法は、日本のブルワリーにとってのスタンダードへと変化を遂げ、またベアードの特別醸造ビールのいくつかは、ワールドビアカップで金賞を受賞した。
ベアードが成功すると、拡大が必要となった。数年前、家族経営の同社は修善寺に新しい醸造施設をオープンさせた。美しく広いこの施設は、以前キャンプ場だった場所に建てられていて、ベアードビールは地面の修復作業に熱心に取り組んだ。そう、ここはバー付きのブルワリーのキャンプ場なのだ。地元で飲みたいなら、まず横浜中心部に位置する馬車道タップルームに行ってみるのがいいだろう。今回、人気を集める同店舗についてブライアン・ベアードに話を聞いた。
馬車道タップルームは沼津(静岡)、中目黒(東京)と原宿(東京)の次にオープンした4番目の店舗です。なぜ横浜を選んだのですか?
4店舗目の出店先として横浜を選んだ理由は、横浜の文化的な雰囲気が、私たちが提供するフードのコンセプトとマッチしていると感じたからです。のちにピットマスター(バーベキューの調理責任者)となったチャールズ・モローもそのとき横浜近郊に住んでいたので、タイミングがうまく重なったのです。
なぜアメリカンスタイルのバーベキューをこの店舗のテーマに選んだのですか?
モローという、自家醸造家であり、バーベキューに情熱を注ぐバーベキューの達人に出会ったからです。彼とは何度か本場のアメリカンバーベキューと、それぞれ特徴のあるクラフトビールの類似点について意見を交わしていました。彼はその後、私、さゆり(ベアード共同創業者でありブライアンの妻)とジョン・チェセン(シニアーパートナー/総務部長)を自宅に招いて、自家製バーベキューを振る舞ってくれました。私たちは口にした瞬間にとりこになりました。モローの長年の夢は、本場のアメリカンスタイルのバーベキューを日本に広めることだったので、それを叶える手段として4店舗目のタップルームを活用することを申し出ました。美味しいビールと本物のバーベキューの組み合わせは、まさに神からの贈り物です。
馬車道タップルームで使用している特別なオーブンについて教えてください。
「視察ツアー」としてテキサス州に行ったとき、私たちはバーベキュー機材のメーカーをいくつか訪れました。日本に持ってくるのに一番実用的だと思ったのは、テキサス州メスキートの小さな会社が作っている「ビッグレッド」でした。その仕事ぶりは素晴らしいです。設置してから9年経っていますが、出来上がったお肉は、今やこの上ないほどの出来上がりになっています!
横浜の馬車道タップルームにちなんだビールもありますよね。
そうです。「馬車道エール」は、馬車道タップルーム限定の燻製されたブラウンエールのリアルエールで、ハンドポンプ(リアルエールの炭酸ガスは自然に発生したものなので、伝統的にポンプで提供される)で注がれます。このビールのコンセプトは、燻製の特徴をかすかに感じる、バーベキューの香ばしさを際立たせるクラフトビールです。ぜひブリスケットのお供に馬車道エールを飲んでみてください。衝撃を受けるはずです!
横浜のどんなところが好きですか?
国際的でオープンなところと、明治時代のような雰囲気があるところです。また一日で歩いて回れるほどいろいろと集約されているのが好きです。
横浜在住の家族、住民や旅行客に伝えたい馬車道タップルームのアピールポイントとは、ずばり何でしょうか?
横浜市と同様に、馬車道タップルームは地元に根差していながらも、オープンで国際的な雰囲気があります。本物の米国と、本物の日本がきちんと共存しているのです。家族連れもウェルカムで、スタッフは経験豊富で熱心に取り組む人ばかりです。
ブライアン、ありがとうございました。20周年、そして横浜も歴史の一部に加えてくれたことに、祝意を表したいと思います。おめでとう!