箱根といえば、もっぱら温泉リゾートを始め、数ヶ所に点在する世界トップクラスの博物館や富士山を望む景勝地として知られているが、ここでは少しマイナーな理由から箱根をお勧めしたい。それは「かまぼこ博物館」である。同じ敷地内には箱根ビールというとても美味しいクラフトブルワリーもある。
「かまぼこ」は英語で言うとフィッシュケーキのことだが、安価なお弁当から高級懐石料理まで、様々な和食に供される食材だ。とは言っても、かまぼこの博物館が面白いだなんて、本当にそんなことがあり得るのだろうか?それが実は、本当なのだ。楽しい場所で家族連れにも優しいし、興味をそそられて夢中になるうえ、勉強にもなる博物館なのだ。何世紀にも渡るかまぼこ作りの詳しい歴史を展示したコーナーもあるが、おそらく一番興味をそそられるのは、自分でかまぼこ作りが体験できるワークショップだろう。
スポンジのような、というかとても弾力のあるこの食べ物は白身魚から作られる。おろした白身魚をよくたたいてペースト状にし、他の原材料を2~3種類加えてよく混ぜ、成形したら蒸し上げる。熱を通すことで固まって完成するのだ。現在かまぼこの多くは機械生産されているが、高級かまぼこは、手づくり専門の職人が昔ながらの技法で作っている。こうした製造方法は博物館の展示コーナーでも紹介されているし、工房で実際にプロが作業している様子を窓越しに見学することもできる。
開館時間中は、わずか1500円で約1時間の体験が楽しめるワークショップも利用可能だ。自分でかまぼこを作り、出来上がったら持ち帰ることができるのだ!工程はいたってシンプルなので小さな子供でも参加できる。我々が見た限り、幼い子たちもとても楽しんでいるようだった。手ほどきしてくれる人がいるし、言葉のサポートが必要な人のために、スクリーンでも英語でやり方の説明が上映される。
ところで、かまぼこは練った材料を板の上に乗せて蒸すのだが、博物館ではそのかまぼこ板をリサイクルして来館者が絵を描けるようにしている。かまぼこの板絵アートが多数展示されているギャラリーがあり、中にはとても美しい作品もある。箱根ビールは博物館でも、通りを隔てたブルワリー直営レストランでも飲める。一日の終わりに、ここの旨いピルスナーとかまぼこの組み合わせは絶対にいける。このあっさりしたおつまみは期待を裏切らないし、何よりハードワークした自分へのご褒美だ!