鮮やかな色の看板をくぐって明るい店内に足を踏み入れると、チリの辛みとココナツの甘み、エビの味噌ペーストの濃厚な香りが混じった、至極マレーシアらしい香りに包まれる。50名収容の店内は広く快適で、誕生日パーティーや友達との飲み会にぴったりな、VIPルームと呼ばれる個室もある。スタッフは、日本語か中国語か英語か、はたまたバハサ語か、相手に合わせて言語をチョイスしようと、独特の間合いと笑顔で迎えてくれた。
大人気の渋谷店に続き、2店舗目となるマレーアジアンクイジーン横浜店は、今年7月にオープンしたばかり。故郷の味を求めるマレーシア人のみならず、マレーシア料理を愛する常連客たちで賑わいをみせている。イスラム教徒が安心して食事できるよう、豚肉は一切使用せず、鶏肉と牛肉はハラルミートを使用。人気の豚肉料理バクテーの替わりに、チキンで代用したチクテーを出すなど、メニューも工夫している。一方で、イスラム教徒以外にも楽しんでもらいたいという思いから、アルコールをサーブしていることを明記している。
マレー系、中華系、インド系、ババ・ニョニャ料理など、まるでマレー半島を周遊しているような気持ちになりながらメニューを眺め、今回はお勧めのミーラクサ(¥1,000)にチャレンジ。ココナツミルクとスパイス、魚介ペーストのスープに卵麺がよく絡む。空芯菜のプラチャン(エビ味噌ペースト)炒め(¥980)、カレー付きロティチャナイ(¥400)、海老の特製バターソースの炒め(¥1,980)など、なにを食べても本格的な味わいが楽しめる。「味は日本風にアレンジしていないのですが、良い素材を使っているので、マレーシアで食べた料理よりも美味しいと言われます」と、ディレクターのチャーカイシン氏は胸を張る。辛い料理に舌が痺れてきたら、タイガービール(¥600)やパクチーモヒート(¥600)でちょっとひと休みしてみよう。復活したらまたすぐに、奥深いマレーシア料理の味の旅に出かけたくなるはずだ。