石川町の賑わう通り沿いに、現代生活の喧噪から一歩離れるスペースを提供する、小さくて心地よい世界がある。昭和時代のお菓子屋さんをリノベーションしたアートスペース「と」は、もともと絵本カフェとしてオープンしたが、後に、地元コミュニティのクリエイティブスピリットに火を灯し、人々を一つに結びつけるために、レンタルスペースとして地元アーティストの展示、ワークショップ、イベント、アクトを提供するようになった。
「と」のカフェタイムは正午より始まり、様々なジンジャードリンクとチョコレートチップビスコッティ(¥500)、クスクスプレートやスープを提供する。多様なアーティストによる手作り品や地元で育った野菜も販売されている。「と」はしばしば授業を終えた生徒が放課後に集まる場所となる。「と」は子どもにゲームや宿題を持ち込むように勧めていて、そこでは一冊の本を読むたびにスタンプを一つ押してもらい、スタンプが溜まったらお菓子が無料でもらえるシステムとなっている。午後6時になるとカフェタイムは終了し、アートスペースはイベントやワークショップ用に貸し出される。
毎月、アニメーションからクッキング教室まで、幅広いワークショップと講義が行われ、そのほとんどがクリエイティブなプロセスに主眼が置かれている。私たちが「と」を訪れた際、エネルギッシュなオーナー、今江嘉江に会うことができ、名称「と」の由来を少し知ることができた。日本語で「と」とは、人間、物、作品を一つに結びつける助詞のこと。ヴィンテージのタイプライターや家具、カメラ、そして絵画、手作りの作品、その他のインスタレーションに表現される若々しい遊び心の面白いコンビネーションを提示する「と」は、シナジー、自発性、コミュニティの創造性の中心の魔法を確かに掴んでいる。