重い病気を持つ子どもとその家族を支えるために設立された横浜市のNPO法人「スマイルオブキッズ」。同法人の代表理事である田川尚登さんは、当時まだ6歳だった次女のはるかちゃんを脳腫瘍で亡くしている。お世話になった病院に恩返しをするため、また、まだまだ整備が遅れていた小児医療に関する療育環境の向上のため、2003年8月に同法人を設立した。現在、同法人は、神奈川県立こども医療センターそばに建てられた、子ども患者の家族のための宿泊施設「リラのいえ」の運営(ちなみに同施設の建設も同法人による)や、音楽による患者・家族の支援活動、きょうだい児の預かり保育を行っている。重篤な病気を持つ子どもの闘病生活は、患者の子どもだけでなく、家族にも大きな苦難を強いると田川さんは語る。「重病を持つ子どものきょうだい児はどうしても我慢を強いられます。父母はどうしても難病の子どもにかかりきりになって、きょうだい児は放置されがちになり、子どもたちはストレスを溜めてしまいます。そのストレスの解消と、家族が安心して面会や治療ができるよう、リラのいえのリビングルームを開放して、きょうだい児の預かり保育をしています」。
上記の3つの活動のほか、今、スマイルオブキッズは「子どもホスピス」の建設に向けて動いている。子どもホスピスとは何だろうか。大人のホスピスとどのように違うのか。田川さんは次のように明らかにしてくれた。「子どものホスピスは、大人のそれとは意義を全く異にしています。大人のホスピスが死を静かに迎える最後の場所であるのに対して、子どものホスピスは、残り少ない限られた時間のなかで、患者の子どもが家族や友達と楽しい思い出をつくる場所。生を大切にするための場所なのです」。建物自体も子どもに優しい造りとなる予定だ。重病の子どもは階段を昇り降りすることが困難なので、階層建てではなくフラットな平屋造り。自然も多く、友達や親戚など、多くの人が気軽にお見舞いができるよう交通の便が良いところに建設したいと田川さんは考えている。ラウンジには大きな窓もあしらえ、昼は光が差し込み、夏には花火も見ることができる。
ホスピス建設には莫大な費用がかかる。建設費用の捻出のため、スマイルオブキッズは定期的にコンサートツアーを行っている。第2回目のコンサートが今年5月10日(日)に関内ホールで行われ、ゴスペル歌手でボイストレーナーの亀渕友香さんとロック歌手のROLLYさんが出演する。随時、寄付金も募っている。田川さんの活動に心動いた読者の皆さんは、ぜひ「スマイルオブキッズ」の輪に参加しよう!
詳細については: http://www.smileofkids.jp/