扉が開くと同時に、港を出入りする船の汽笛が聞こえてくる。そんな、いかにも横浜らしいバーがオープンするのは午後6時。損害保険会社の社員から脱サラして、「誰もが良い酒と良い音楽を楽しめる空間」をつくったオーナーの水谷洋文が、仕事帰りのサラリーマンから、横浜デートの仕上げに訪れるカップルまで、いつものフレンドリーな笑顔と、心地よい音楽で迎えてくれる。
常連客の目当ては、広い木製のカウンターでじっくりと楽しむシングルモルトにバーボンだ。様々な銘柄の上質なウイスキーが、¥700~¥1150で楽しめる。また、蒸し暑い今の時期に人気が高いのが、旬のフルーツをたっぷりと使用したフローズンカクテル。春先から夏に登場するマンゴーフローズンカクテル(¥1300)は南国のビーチサイドを思わせる。フレッシュなミントをたっぷり使ったモヒート(¥1200)は、通年で、この店の圧倒的人気ナンバーワンカクテルだ。
慎重に考案されたフードメニューは、¥500~¥1000とリーズナブルながら、いずれも思わず、おかわりをしたくなる精鋭ばかり。イチジクとクリームチーズ(¥700)はウイスキーと好相性。小腹を満たしたいときには、ハチミツを添えたブルーチーズのピザ(¥800)がお勧め。手作りの新生姜の醤油漬け(¥600)はキリリと冷えたモスコーミュール(¥1000)と一緒に味わいたい。テーブルチャージはない。
店名のOn the Earthは、昔の音楽番組のタイトルから拝借したという。店内の状況に合わせて、300枚を超えるCDから、まるでDJのように音楽をチョイスする。「肩肘張ってバーに来る必要はない。皆同じ地球の仲間だからね」。だから、水谷は今日もシャツを袖まくりして、ノーネクタイ。金曜日にはお疲れ様の気持ちを込めて、いつもよりもアップテンポな曲を多めにかけている。とはいえ、金曜までお店を訪ねるのを待つ必要はない。